モリアオガエル:体色
2016.12.24 (土)
須田
みなさんこんにちは!
アクア・トト ぎふの3階では、岐阜県にも生息する樹上性のカエル、
「モリアオガエル」を展示しています。
さてこのモリアオガエル。
自然下ではこのような緑の体色をしているのですが、

当館でオタマジャクシから育てると、
青みがかったような、白っぽい色のモリアオガエルになってしまうことがあります。


2014年のこのブログでも取り上げられているように、
これまでなぜ青白くなってしまうのか特定することができず、
飼育担当者の悩みのタネでした。
青白いカエルを展示することで、モリアオガエルの体色について
「モリアオガエル=青白い」と誤解を与えてはいけない…!
やっぱり自然下のような緑色のモリアオガエルを展示したい!!!
ということで、
今年は「餌」に注目して、トライしてみました!
自然下のモリアオガエルは何を食べているのか
調べてみたところ、セミ、クモ、バッタなどなど
実に様々な餌生物を食べていることが分かりました。
かわって、水族館では何を与えているのかというと、
栄養剤をまぶしたフタホシコオロギ1種です。

おいしそうに食べてくれますが、
ここに飼育下では足りない何かがあるのではないだろうか?!と考えました。
それはもしかすると、
本来は多様な生き物を餌とすることで得られるはずの、
体色の元となる色素なのでは!?
そこで、餌となるコオロギに色素を添加してみよう!
と7月より取り組みを始めました!
まずはバックヤードにいる、
今年生まれのオタマジャクシから育てた幼体に
色素を添加したコオロギを与えてみることにしました。

両生類の多くは
「βカロテン」「アスタキサンチン」「ゼアキサンチン」「ルテイン」などの
様々な色素を持つといわれています。
その中でも、サプリメントとして手に入れやすい
「ルテイン」と「βカロテン」のサプリメント(軟カプセル)の中身を絞り出し、
コオロギにつけて、与えてみました!
針を使ってカプセルに穴をあけ、

餌のコオロギにまんべんなくつけてから与えます!

それぞれの影響が比べられるように
①これまでと同じ、コオロギのみを与える幼体
②ルテインをコオロギに添加してから与える幼体
③βカロテンをコオロギに添加してから与える幼体
3つのケースに分けて飼育しました。
3か月後、どうなったかというと…
①添加なし

②ルテイン添加

③βカロテン添加

並べてみると…


どうでしょうこの差!
①コオロギのみ給餌を行った幼体が水色をしているのに対し、
②ルテイン・③βカロテン添加をした幼体の体色が緑っぽくなりました!
とくに青みが少なく、緑が顕著になったのは②ルテインの幼体でした。
これは、自然下の体色に少しでも近づけたのでは!?
緑色のモリアオガエルに向けて、希望の光が見えた感じがします!
さて、バックヤードにいる幼体では結果が得られましたが、
現在展示している成体にも効果はあるのでしょうか…!
引用: アクア・トト ぎふ